スポーツメモラビリアとは?
メモラビリアは著名人の直筆サイン(=オートグラフ)が入った記念品を意味します。俳優、ミュージシャン、タレント、政治家など、ジャンルは様々ございますが、アスリートの場合はスポーツメモラビリアに該当します。
近年、世界中で市場が拡大しており、特にメモラビリアの先進国といわれるアメリカでは年間で約6,000億円(出典:米経済誌FORBES)の市場がございます。個人宅をはじめ、レストランやカフェ、バーをはじめ、役員室やクリニックの待合室など、いたるところに飾られており、文化として浸透しております。
特に伸びている要因としましては、スポーツの盛り上がりに加えて、コロナ禍の巣ごもり需要が契機になったと考えられております。その間、世界の主要なオークションハウスで記録的な億単位の落札が相次ぎ、メーカーの販売価格も何倍にも高騰。人々の自宅で過ごす時間が増え、身の回りの整理やインテリアの見直しなどが進み、スポーツの自宅観戦を一層充実させるものとして注目されています。
■投資的側面
近年、熱気を帯びているスポーツメモラビリアですが、株や不動産と同様に、必ず価値が上がるものではありません。しかしながら、過去10年~20年を振り返りますと、レジェンド選手のコレクションは堅調に推移しております。
具体的にはディエゴ・マラドーナ氏が1986年ワールドカップで着用していたユニフォームがスポーツメモラビリア史上最高額となる約12億円を記録。わずか4か月後には、マイケル・ジョーダン氏がNBAファイナルで着用したユニフォームが約14億円で落札され記録更新。また、もっとも分かりやすい例では、1999年に約700万円で落札されたジョーダン氏の大学時代のユニフォームが、2021年に約1.5億円を記録。22年で価値が21.7倍に増大しています。
キーファクターとなりうるのは選手自身の活躍ではありますが、とりわけ注目されている競技としてはサッカーがあげられます。それは米国4大スポーツと比べて億単位の落札例がまだまだ少ないからです。
今後の世界サッカー市場について調査したMordor Intelligenceの2024年のレポートでは、2029年まで4.09%のCAGRで成長すると予測。また他の市場調査でも同様に上向きの見通しを立てるアナリストは珍しくありません。また2026年のワールドカップでは、アジアの参加枠が4.5から8.5に増加します。経済成長著しく、人口の多いアジアにおいてサッカー人気が高まることは、コレクションへの需要増加も大いに期待されています。
■FAN CAVE(ファンの部屋)
所有するコレクションの価値の変動を楽しむことも醍醐味ではありますが、原点としては、シンプルにスポーツ観戦を充実させる目的が最大の魅力といえます。
そのためメモラビリアの文化が根付くアメリカでは、FAN CAVE(ファン・ケイヴ)という言葉がよく知られています。直訳すると「ファンの洞窟」、すなわち「ファンの部屋」を意味します。お気に入りの選手やチームを現地で応援できなくとも、メモラビリアを飾ることで選手を身近に感じ、それに準ずる環境を整備し、自宅観戦を一層充実させる人々が少なくありません。
レジェンドたちの足跡がよみがえる数々のメモラビリアに囲まれながら、お気に入りの飲み物やおつまみを片手に、ゆったりとスポーツ観戦を楽しむ。時には一人でお気に入りの空間を満喫。時には親しい友人・仲間を招き、自慢のコレクションと軽食でおもてなし。スタジアムやスポーツバーの熱気につつまれた観戦とは異なる、穏やかな観戦スタイルを実現できます。
■コミュニケーション・ブースターとしての魅力
さらに円滑なコミュニケーションを促進させるのもメモラビリアの得意分野です。国内でも浸透しつつありますが、個人宅をはじめ、レストランやカフェ・バー、会社の役員室、クリニックの待合室などにスタイリッシュに飾られることで共通の話題が生まれやすく、ちょっとした会話の糸口にもなるわけです。
このように一言で「スポーツメモラビリア」といっても、人によって向き合い方は様々で、生活のあらゆるシーンで助けとなる多彩な魅力をもっています。ぜひ、お気に入りのコレクションを見つけて、好みの額装を施し、アスリートが常日頃から大変されている価値やメンタリティーを共有していただければ幸いです。